WHY“温度計のない宿”で、最初に決める数字はひとつだけ
URI京丹後には、テレビも、BGMも、時計も、温度計もありません。少し不便です。でも、その不便さの中にこの場所の面白さがあります。「何度だから」「何分だから」ではなく、暑い、冷たい、気持ちいい、そろそろ出たい、という感覚を頼りに過ごしてほしいからです。
その宿で、滞在中に決める数字はほぼひとつ。サウナ室の設定温度です。コントローラーに表示されるのは室温、ストーブの残り時間、設定温度の3つ。80℃をおすすめしているのは、高温でカラッと短時間に攻めるより、少し低めの温度にロウリュの蒸気を重ねたほうが、身体の芯までじっくり温まるから。蔵の梁の下でも、黒い瞑想サウナでも、納屋のバレルサウナでも、この温度がURIの基準です。
ストーブが温まるまで、およそ1時間。この1時間は「待ち時間」ではなく「仕込みの時間」です。水風呂を溜め、ハーブを選び、ジョッキを冷やし、谷の空気に身体を慣らす。全部、サウナを気持ちよくするための段取りです。
HOW TOサウナと水風呂のセットアップ
所要時間の目安: 操作は5分、温まるまで約1時間
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サウナ室のスイッチをON
コントローラーの電源を入れ、設定温度を決めます。おすすめは80℃。画面には室温・ストーブの残り時間・設定温度が出ます。設定温度に届くまで、およそ1時間。
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浴槽の目印まで「水」を溜める
水風呂の蛇口をひらき、浴槽の内側にある「水位ここまで」の目印まで水を溜めます。目印はポンプがきちんと水を吸える最低ライン。ここまで溜まる前に次へ進まないこと。
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水が溜まったら、チラーをON
チラースイッチ(冷却装置)を押します。ここから水が循環しながら冷えていきます。冷却中でも水風呂に入れます。ぬるめが好きなら早めに入ってしまうのも手。
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好みの冷たさになったら、OFF
キンと冷えたところでスイッチを切ります。温度計はありませんから、手を入れて決めてください。「もう少し」と思ったらもう一度ON。数字ではなく、肌で決めるのがURIの流儀。
1 HOURストーブが温まるまでの1時間、何をする?
着いてすぐの1時間は、やることが意外と多くて、意外と楽しい時間です。モデルコースを置いておきます。もちろん、全部やらなくていい。谷の風にあたってぼんやりするのが、いちばん正しい過ごし方かもしれません。
入室。サウナ室のスイッチON(80℃)。水風呂の蛇口をひらく。
URIバッグを開ける。水着・サウナハット・館内着・タオルを確認して、館内着に着替えてしまう。
冷蔵庫をのぞく。ジョッキを冷蔵庫に入れておく(5/12 オロポの作り方の仕込み)。ウェルカムドリンクの琴引の塩サイダーを1本。
水が目印まで溜まったら、チラーON。
ハーブの瓶をあけて香りを選ぶ。パックに入れてロウリュバケットへ(2/12)。
外気浴スペースに出て、椅子の向きを決める。谷の風の通り道を探す。星空アプリ「Star Walk 2」を入れておく(7/12)。
室温が設定温度に届く。水風呂も冷えはじめている。3/12 サウナルーティンへ。
DEEP DIVEもっと知る:ストーブと水風呂の裏側
電気ストーブが1時間かかる理由
URIのサウナ室はすべてHARVIA(ハルビア)製の電気ストーブです。ヒーターが直接空気を温めるのではなく、まず上に積まれたサウナストーンを温め、石から放たれる熱で部屋を温めます。石が芯まで熱を持つのに時間がかかるぶん、いったん温まれば熱が安定し、ロウリュの水を受け止めてやわらかい蒸気に変えてくれます。「設定温度になるまでおよそ1時間」は、石がちゃんと働ける状態になるまでの時間です。
ちなみに6時間で自動オフになるのは安全のため。深夜のサウナや朝サウナを狙うなら、入りたい時刻の1時間前にもう一度スイッチを入れてください(10/12 朝散歩と朝サウナに、散歩の前に再加熱しておく小技があります)。
チラーとは何か、なぜ「空」で壊れるのか
チラー(chiller)は、水を循環させながら熱を奪う冷却装置。エアコンの室外機と同じ原理で、浴槽の水をポンプで吸い上げ、冷やして戻す、を繰り返します。だから浴槽が空だと、ポンプは水ではなく空気を吸い込んで空回りし、冷却側は熱の逃げ場を失います。「水位ここまで」の目印は、ポンプが安全に水を吸える最低ライン。あの目印は飾りではなく、装置を守る線です。
多くのサウナ施設の水風呂は16〜17℃前後に設定されています。URIの水風呂は3棟とも約8℃まで冷やせる仕様。ひとけたの水温、いわゆる「シングル」は、サウナ好きの間で特別な響きを持つ数字です。ただ、その数字を測る温度計はここにありません。冷たさは、手で、足で、肩まで沈んだ瞬間の息で確かめてください。
季節で変わる、ということ
チラーで冷やす前の水、つまり水道水の温度は、季節でまったく違います。冬の久美浜の水は蛇口から出た時点で冷たく、短い時間でキンと冷えます。夏は水そのものがぬるく、真夏日に20℃以下まで冷やすには3時間ほどかかります。それでも、冷やしながら入れるのがチラーのいいところ。同じ宿、同じ浴槽でも、1月の水風呂と8月の水風呂は別物。「今日の水」を楽しむのがURI流です。
3 ROOMS棟ごとの、サウナと水風呂のかたち
3棟それぞれにサウナ室と水風呂があり、どの棟も操作は同じ。でも、熱の性格はまったく違います。
- 母屋 栄の間
- 蔵サウナ築100年の土蔵を改装。本来6名以上入れる広さを2名用に。170cmのフラットな板面に寝転べる。水風呂は約8℃まで
- 別邸 竹の間
- 瞑想サウナ黒一色の小さなサウナ室、HARVIAのタワー型ストーブ。サウナ・水風呂・リビング・寝室が1フロアでつながる
- 別邸 八重の間
- 納屋のバレルサウナ部屋から直通の納屋テラスに本格バレルサウナ。籾殻を保存していた穴ぐらが天然のクールスポット
どの棟でも、最初の1時間にやることは変わりません。スイッチを入れて、水を溜めて、チラーを押す。あとは、温まるのを待つあいだに谷の空気を吸っておくこと。


